東大情報理工学院試のシステム情報学専攻専門科目対策の記事になります。
システム情報学専攻を受けると決めたけどどのように勉強すればいいかわからない、、という方に向けて実体験を踏まえて詳細に解説しました!
ちなみに筆者は専門科目の試験において得点率98%とほぼ満点の得点を取ることができました。
点数開示について詳しく紹介していますのでこちらもどうぞ!
専門科目試験内容
まずは、専門科目の出題範囲を確認しましょう。
東京大学の公式が出している募集要項によると出題範囲は
「信号処理、電子回路、制御、コンピュータシステム、力学の各分野から出題された5問のうち2問に回答する」とあります。
試験時間は例年が120分でしたが、2021年度試験(2020年実施)、2022年度試験(2021年実施)は社会的情勢によりイレギュラーな試験時間となりました。
ちなみに情報理工学の院試では専門科目の他に数学と英語の試験があります。
そちらについても詳しい対策記事をあげているのでぜひどうぞ!
【東大情報理工院試】合格者が教える超高コスパ対策法〜数学編前編〜
【東大院試】外部から合格した大学生が教える対策法〜受験感想編〜
配点
次に専門科目の配点についてです。
情報理工全体の対策記事でも紹介していますが、具体的な配点は公開されていません。
しかし私の開示結果や他のブログをもとに考えると、専門科目の配点は全体の約4割近くを占めています。
割合として非常に大きな部分であるためここで落としてしまうと合格は難しくなります。
情報理工学全体に関しての対策記事はこちらからどうぞ
具体的な対策
ここからは専門科目ごとに分けて具体的な対策について解説していきます。
最初に注意ですが、私は信号処理と電子回路について時間的制約からほとんど勉強することができなかったのでその二つについては他に役立つブログを紹介するのに留めておきます。
以下ではそのほかの三つの専門科目について詳しく解説していきます。
制御
まずは制御工学の科目からです。
一言で言えば非常におすすめの科目と言えます。理論的な部分が多くなく、演習を重ねることで確実に得点アップを見込めるからです。
使用教科書を見ていきましょう
まずはこちら。以下では青本と呼びます。
演習問題を解くことで理論の理解を図るというコンセプトの本です。
簡単な説明→練習問題→まとめの確認問題という流れで構成されています。
制御工学について学部時代に一度触れたことがある方は理論を思い出しつつスムーズに解き進めることができるかと思います。
しかしこの本の特性上、事前知識がほとんど与えられないままいきなり問題を解くことになるので制御工学について全く勉強したことがない方はハードルが少し高いです。
その場合は以下の書籍(以下では白本と呼びます)を読んでからだととてもスムーズに青本に取り組めるかと思います。
必要な知識は高校レベルの積分の知識くらいですので構えず気楽に読める本です。
完璧になるまで理解する必要はなく、なんとなくわかったなくらいの段階で青本に取り掛かってください。
青本を読んでも理解できない場合は再び白本に戻って理論の確認という流れで勉強を進めていきましょう。
青本が無事に終わったらいきなり過去問、、と言いたいところですが時間のある方はもうワンステップ踏みましょう。
以下に紹介する動画シリーズを見てみてください。
古典制御から現代制御までの理論を講義形式で確認することができます。
このステップを踏むのには二つの理由があります。
一つは単純に青本だけではカバーしきれない理論の部分を埋めることができるから。
もう一つは毎年一問程度出題される論述問題に対応できるようになるからです。
青本からいきなり過去問に行っても良いのですが、その場合毎年一問程度出題される論述問題に対応するのが難しいです。
一連の勉強法の流れとしては(白本→)青本(→動画視聴)→過去問という流れになります。
コンピュータシステム
範囲はなかなか広いですが、安定すればかなりの高得点を目指せる科目です。
元々コンピュータが好きな方でないと途中で挫折する可能性もある科目とも言えます笑
自分は機械の内部原理とか嫌いではなかったのですがそれでも途中で諦めることになりました笑
勉強法の流れとしては論理回路入門→パタヘネ本(軽く)→過去問→並行してパタヘネ本という流れになります。
まずはこの分野を勉強したことのある方もない方も以下の書籍を読んでみましょう。
勉強したことがない方だと途中にいくつか詰まるところはあるかと思いますが、深く気にしすぎず最後まで読むことが重要です。
なんとなくの理解だったものが知識をつけた上で後から考えるとしっかり腑に落ちるなんてことは勉強ではよくありますが、この分野ではそれが顕著です。
一旦わからないところは飛ばし飛ばしでもいいので最後まで読んでみましょう。その上でパタヘネ本をパラパラ読んでいく感じです。
パタヘネ本とはこちらの本のことです。
パタヘネ本はとにかく量が多いです。上下合わせると800ページ近い分量があります。
一気にやろうとすると必ずどこかで嫌になる時が来ます笑
そこで私がおすすめする方法は過去問と併用してパタヘネ本を使っていく方法です。
論理回路入門を読んで、パタヘネ本を読むのに飽きてしまったら一度昔の過去問を3~4年分解いてみましょう。
おそらく最初の方の問題は解けるはずです。これは論理回路入門を読んだおかげですね。
しかし、中盤あたりで詰まる問題が出てきます。ここでパタヘネ本に戻って理論を確認します。
経験上、パタヘネ本を読んで解けない問題はほぼないです。
なのでパタヘネ本さえ理解できれば過去問は怖くありません。
しかし量が膨大です。そのため繰り返しになりますが、パタヘネ→過去問という流れではなく、
過去問↔︎パタヘネと両方を行き来しながら勉強するのをおすすめします!
力学
最後に力学です。
正直、選択としてあまりおすすめはしません笑
理由としては、傾向がほとんど存在しないことと最初がわからないと芋づる式に全ての問題を落とす可能性が高いからです。
科目の特性上、問題の途中で設定が変わることが少ないので最初の問題がわからないと状況を理解できず全て落としてしまうことが容易にあり得ます。
勉強法としては知識の確認→ひたすら演習という愚直なものになります。
この分野はたくさんの種類の問題を経験しておくのが一番の近道です。
演習として使える教材とサイトを紹介しておきます。
まずはこちら
非常にオーソドックスな演習書です。力学全分野をうまく70問程度にまとめている本になります。
理論で忘れてしまっているところの確認から最後の仕上げまで、通して使える良書になります。
次にこちら
こちらの学部の院試でも力学が出題されます。
レベルとしてはこちらの院試で出題されるモノよりは少し簡単ですが、このレベルをまずは難なく解けるようになっておくと安心感が出てきます。
私は直前期に知識の確認として使っていました。
信号処理、電子回路
上述した通りこちらの分野は手が回らなかったので参考になるサイトを紹介しておきます。
こちらのサイトでも紹介されていますが、「やるおで学ぶディジタル信号処理」というサイトは信号処理論の勉強にも制御工学の勉強にも使えるのでぜひ一度見て見ることをおすすめします。
リンクはこちら
勉強計画
次に勉強計画についてです。院試は大学受験と違って費やせる時間に限りがあります。
そのためなんとなく勉強するのではなくあらかじめ戦略を練って挑む必要があります。
さて、専門科目の戦略として基本的には2通りあります。
- 最初から選択する科目を二つないしは三つに絞ってそれらを完璧に仕上げる
こちらの方法は最初から絞って勉強を続けるので基本的に試験に間に合わないということは起こりづらいです。
しかし、自分が本番で解ける科目が少ないのでその科目で難しい問題がでた時に逃げ道がなくなるというデメリットもあります。
ちなみに私は試験直前まで力学の過去問が解けず不安で押しつぶされそうな毎日でした笑
- 5つの科目を満遍なく勉強して試験が近づいてきたら各科目でウエイトを変えながら得意科目を仕上げる
7月ごろまで満遍なく各科目を勉強して、7月に入ってからはより得意な科目に重点をおいて勉強していく方法です。
当然ですがバランスが良く本番でも柔軟に対応が可能なので理想的な勉強法です。
しかし、五科目全てを勉強する必要があるので勉強時間もそれなりにかかります。
二つの方法どちらがいいでしょうか。私の考えを述べておきます。
情報系の授業をまともに受けたことがない私のような方は二つ目の方法を取るのはかなり厳しいです。
特に外部から受験される方は茨の道であることを覚悟しましょう。
大学によって授業の進め方は違うからです。
東大の院試は当然東大の教授が作成するので東大の学部の授業で扱う内容に近くなります。
学部二年生や三年生の授業で専門科目に関する授業をとっていたとしても外部の場合は授業そのものが違うので東大で出題される範囲を取り扱っていない、、なんて場合があります。
それを踏まえれば結局次のようにまとめられるでしょう
外部生であれば一つ目の方法、内部生であれば二つ目の方法を取るのがよい。ということになります。
過去問
過去問の解答を公開予定です。
しばらくお待ちください。
受験感想
ここからは実際の受験感想になります。
今年も去年に引き続きイレギュラーな試験体系となりました。
例年120分だった試験が今年は試験時間を50分に短縮して完全オンラインで行われました。
私は勉強していた制御工学、コンピュータシステム、力学の三分野の問題に目を通しましたがどの問題も非常に基礎的な分野が問われており、時間との勝負という印象でした。
信号処理と電子回路を学んだ友人に後日聞いたところ、こちらの二分野も基礎的な問題だったようです。
全体の時間が50分だったので一科目あたり25分しか時間をかけることができず、思考力というよりは処理の速さを求められるタイプの問題だったと言えるでしょう。
特徴的だったのは全ての大門で、記述形式の問題が出たことです。
システム情報学専攻の専門科目は、例年どの科目でも「説明せよ」や「論述せよ」というタイプの問題が出題されていました。
論述問題は実際のモデルとの関わりや動作原理などに関わる問題が多く出題されています。
今年の問題もそうでした。
試験時間が大幅に短縮された今年であってもそのような問題をあえて出題したのは、ただ数式や条件から問題が解けるだけではなく
実際に研究する上で理論と現実との関わりを理解しているかどうかを確かめるのが目的だったと言えるでしょう。
来年以降の試験形式がどうなるかはわかりませんが、もし試験時間がこのまま短いタイプの試験形式だとすれば今年のように処理能力を前提としつつ論述問題を織り交ぜてくる傾向が続くと思います。
専門科目は満点も狙える!
ここまでシステム情報学専攻の専門科目対策について詳しく解説しました!
私は学部で専門知識を学んでいませんでした。
その状態からでも無事に高得点を取ることができたので非常に信憑性があるかと思います。
ぜひ、院試で高得点を目指して頑張ってください!
では一緒に頑張っていきましょう!
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