大学院試験において試験の対策以上に学生を悩ませるであろう研究計画書。学部時代に書いたことのある人はあまり多くないでしょう。
そもそも何を書いたらいいかわからない、、という人や書き方が全然わからない、、という人が多いですよね。
今回はそんな研究計画書について、東大の院試を突破した私が例文付きで詳しく解説していきます!
東大の院試対策についての記事も公開していますので興味のある方はこちらから!
なぜ研究計画書を提出するのか
そもそも研究計画書は何のためにあるのでしょうか?これを考えると少し計画書が書きやすくなるはずです。
一言で言うと、学生側と大学院側の意思疎通のためです。
大学院に入る目的は何かしらの研究をすることですよね。学生側はしたい研究ができるかどうか、大学院側はしっかりした学生が入ってくるかどうかを見極める必要があります。このすり合わせを行うために研究計画書があります。
「私は〇〇の実験がしたいです!」と学生側が思っていても、実際は大学院ではそんな研究は行っていない、、なんてことが起きないために事前に行う確認作業のようなものです。
注意点
一つだけ注意して欲しいことがあります。
「高度な内容にこだわりすぎない」ということです。
正直に言って、学生が書くことのできる研究計画書のレベルはそこまで高くありません。その計画書を読むのはその道のプロフェッショナルなので、無理して悩みすぎるのではなくある意味気楽に書くことが大事です。
私の聞いた話では、大学教授は提出された研究計画書を読む際「みんな若くてかわいいな笑」と思いつつニヤニヤしながら読むそうです笑
クオリティは気にしすぎず大胆な気持ちも大事です!
では実際の書き方についてみていきましょう!
まずやるべきことは自分の興味の深掘り
研究計画書と一言で言ってもその中に含める要素はたくさんあります。いきなり書き出そうとしてもどこかで必ず詰まってしまいます。
まず自分が大学院で何をしたいのかを漠然とでもいいのでもう一度考え直してみましょう。
研究したいものを言語化した上で、
その後にしたい研究内容について次のことを考えてみてください。
それぞれについて詳しく解説していきます。
why(理由)
まずは最も大事な「なぜその研究をしたいのか?」という点について考えてみましょう。何かをしたいのには必ず理由があるはずです。
例えば私の場合は高校時代の自分の体験をきっかけに、とある領域に興味を持ちました。
自分の興味が、その分野の技術開発に携わりたいという思いに変化したのが研究理由です。
詳しい志望理由はこちらの記事で紹介しています!
【東大院試】外部から合格した大学生が教える情報理工対策法〜受験感想編〜
ちなみに進学先を決めるにあたって私は学部を変える「転学部」を行いました。その解説についてはこちらの記事では紹介しています。
【転学部】転学した大学生が教える対策法〜後悔したままでは終わらない!〜
実際に以下では具体例を用いて説明します。
例えば、あなたが災害救助用ロボットに関する研究をしたいと考えていたとします。
「why」のフェーズではなぜ災害用ロボットの研究をしたいと考え始めたのかという点に着目します。
実際の災害経験がきっかけかもしれません。あるいはニュースでの情報がきっかけかもしれません。
自分なりの理由を探してみましょう。
しっかり文字起こしできるのが理想ですが、ふわっとでも構いません。ポイントは自分が研究をしたいと思ったきっかけについてしっかり再認識をすることです。
what(具体的内容)
次に自分がしたい研究をもっと具体的にしてみましょう。基本的に研究計画書を書く段階で、詳細に研究の内容を説明できる学部生は多くないです。
ここである程度自分の中でイメージしておくとこの後で非常にスムーズに書くことができます。
whatを考えるフェーズでは「災害救助用ロボット」というテーマをもっと細分化して何を研究するかを考えることになります。
災害救助用ロボットの・・・・・・
低コスト化、小型化、人間との意思疎通能力の向上、地震,津波,火事それぞれに特化したロボットの開発。
などなど
ここからさらに細分化できますよね。例えば意思疎通能力について言えば、人間の表情の認識システムの開発や会話表現の多様化、、など
自分が興味のある分野であればもっともっと詳細に考えられるかと思います。
ポイントは「この段階では実現可能か不可能かについて考えない」ということです。実現可能性について考えると思考が狭まる原因になってしまいます。
how(方法)
次に考えるのは一つ前のフェーズで考えた「what」をどうやって実行、研究するか?という点です。
このフェーズは非常に難しいです。なぜなら実際の研究内容について深く知っている学生はほとんどいないからです。だからこそ皆さんも研究計画書の書き方に悩むのだろうと思います。
このフェーズではまず一つや二つ実際の研究の論文を読んでみましょう。もし難しければ日本語の論文でも構いません。
探し方は簡単です。
「研究したい分野+条件+論文」と検索するだけです。最初はこのレベルでいいんです。
上の例を使えば「災害救助ロボット+意思疎通+論文」といった具合でしょうか。
自分がやりたいことについての研究に似たことを誰かが研究しているはずなのでその論文を読んでみることで実際に用いられている手法が明確になります。
何本か論文を読むと、その分野で一般的に使われる手法や考え方がなんとなく掴めます。
ここから少しづつ検索の仕方を変えて、(例えば専門用語を含めたり、英語で検索してみたり)調べてみましょう。
もし皆さんが志望している研究室があればその研究室の教授が書いた論文や研究室HPで紹介されている論文を読むことがおすすめです。
where(どこの大学院か)
このフェーズは他の三つに比べると重要度が低いですが必ず行いたいことです。
皆さんは志望研究室が何となく決まっているかと思います。ではなぜその研究室を志望するのでしょうか?
やりたい研究が行われているから。教授と相性がよいと感じたから。大学院が近いから。
人によって理由は様々でしょう。
このフェーズでは、「自分が研究室を志望する目的は他の研究室では達成できないのか?」という点から考えてみましょう。
例えばあなたがAという研究室を志望していて、そこでは災害救助用ロボットの小型化に関する研究が行われていたとします。よく調べてみるとBという研究室では災害救助用ロボットの軽量化に関する実験が行われていました。
この二つはかなり似通っていてどちらも同じように見えます。それでも皆さんが研究室を選ぶ際には何かしらの理由があるはずです。
例えばBという研究室を選ぶならば、なぜ自分は軽量化ではなく小型化を研究したいのかという視点で理由を考えてみるといいでしょう。
このフェーズは研究計画書作成だけでなく面接試験の際にも非常に役立つので必ず行いましょう!
研究計画書作成
ここまで実践できたら、いよいよ実際に研究計画書作成に入ります。
研究計画書は大きく分けて5つに分けることができます。
- 研究背景
- 目的
- 研究方法
- 研究の新規性
- 結果の予測
それぞれを順番に書いていくことでスムーズに研究計画書を作成することができます!
研究背景
「why」のフェーズで考えた理由を元に研究を行う動機について述べます。
例文
近年・・・の分野において・・・という問題がある/という状況である。私はその点について・・・ということがきっかけで非常に興味を持った。この問題/状況は・・・という点において研究すべき課題であり・・・というデータがある。例えば・・・については・・・であり、・・・については・・・である。
まずは最初の段落で自分が研究したいテーマについての社会的、学術的状況を述べます。大学院での目的は「研究すること」ではなく「意味のある研究をすること」です。
この段落があることによって、皆さんが研究したいテーマが本当に研究する必要があるかどうかを大学院側に伝えることができます。
目的
この段落は「why」と「what」のフェーズで考えたことを組み合わせて書いていくと良いでしょう。
例文
上で述べたような・・・という現状を踏まえて、・・・の課題/現状のために・・・な研究を行うことによって・・・という成果を達成できると考える。そのため大学院に入学して・・・を学びながら研究を行っていこうと考えている。
この段落では研究を行う目的について述べます。自分が行いたい研究について詳細に書きつつ、研究を行うことによって何か問題点を解決できるのか、あるいは今はない新たな発見、技術に繋がるのか。このことを大学院側に伝える必要があります。
研究背景のところにも通じるのですが、「ただ面白そうだから」では通じないのが大学院です。
スタートは漠然とした興味から入る人が多いと思いますが、後からしっかりとした目的をつけるようにしましょう!
手法
この段落では「how」のフェーズで考えたことを書きます。
例文
研究手法として〇〇という手法と△△という手法を用いようと考えている。〇〇という手法を用いて・・・や・・・を元に研究を進めたい、△△という手法では・・・や・・・を元に研究を進めたい。
この段落では実際に読んだ論文を元に用いる手法について述べます。大事なことは参考にした論文を自分の中で理解してから書くことです。論文に書いてあることをそのまま写してしまうと必ずバレます。向こうはその道のプロなので笑
新規性
この段落は、手法の段落と一緒にして書いても良いと思います。
例文
現在用いられている・・・という手法は/研究は・・・という点において・・・という問題点がある/という点がまだ解明されていない。私の用いる手法では・・・という点でこの問題を解決することができるという利点がある。
皆さんが行おうと考えている研究が、今行われているものと比べてどう優れているかを書きます。現在行われているものと全く同じものであればその研究をする必要はないですよね。
そのため、自分のやりたい研究は〇〇という点で新しいんだ!ということを伝えなければいけません。
結果の予測
最後に、研究を進めていくとどのような結果が得られそうかという予測を書きます。
例文
・・・という研究を進めることで・・・な結果/成果が得られると考えている。この結果は・・・についての新たな発見であり・・・な分野に応用できると考えられる。また・・・が分かれば・・・という領域においても貢献できると考えている。
この段落では、最初に述べた研究背景につながる形として結果の応用を述べられると良いです。皆さんが研究した結果、何か社会問題を解決するきっかけとなったり新しい技術開発につながったりと、現状の問題点を解決することができますと大学院側に伝えることが大事です。
ここまで書き終わった後に一度やってみて欲しいことがあります。
最後の結論から始めて最初の研究背景につなげて読んでみて、しっかり一貫性のある研究計画書かどうかということを確認してみてください。
一貫性がない場合、結論から読み進めた際に研究背景に論理的に繋がらず違和感を抱くはずです。
最終チェック
ここまで実行した皆さんは一度計画書が形になったかと思います。
そうしたら一度担当教授など周りの人に一度添削してもらいましょう。自分一人で考えながら書いているとどうしてもミスに気づかなかったり、周りくどい表現になってしまうことがあります。
必ず複数の人に見てもらうことをおすすめします!
おすすめ著書
最後に私が研究計画書を書くうえで非常に参考になった書籍を紹介しておきます。
どちらもお勧めですが、個人的には一冊目の方が読み物としても面白かったです笑
さらにこちらのサイトも非常に参考になります。
実際の大学院の教授が解説しているのでとてもわかりやすいです。
院試の研究計画書は怖くない!
今回は皆さんが悩みやすい研究計画書の書き方について例文付きで紹介しました!
かなり長くなってしまいましたが、一つづつ順序立てて行えば難しく考えすぎる必要はありません。
では、一緒に頑張っていきましょう!
ここからは余談ですが、このブログで紹介している本は全てamazonにあります。
学生の方はぜひprime studentに入るのをおすすめします。
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無料期間が半年あるのでその期間だけ試して、その後辞めるのが一番おすすめです笑
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